2009.11.11 東京 第23回 日本Endourology-ESWL学会 口演
原林 透、鈴木英孝、三浪圭太、石崎淳司、望月端吾、永森 聡
腹腔鏡下右腎摘除術における腎動脈に対する大動静脈間アプローチ

経腹膜到達法における腹腔鏡下右腎摘除術の際の動脈処理は、右腎静脈との位置関係、動脈の早期分枝などにより症例毎にバリエーションがあり、容易でない場合もある。大動静脈間で右腎動脈を先行処理遮断することで、静脈を含めて安定した血管処理ができたのでここに報告する。
対象:右腎腫瘍8例(RCC6、UC1、未分化癌1)であり、内訳はT2以上3例、N陽性2例、下大静脈フィルター留置後1例、T1 2例であった。方法:側臥位として上行結腸外側の腹膜を切開し結腸、十二指腸を対側に授動。下大静脈前面を剥離展開後、左腎静脈下縁で大動脈周囲リンパ管をバイポーラ電極にて処理して右腎動脈を確保し、起始部にクリップをかけ遮断。右腎静脈を剥離確保しクリップをかけて切断。腎動脈末梢部にクリップを追加して切断した。
結果:8例とも腎動脈起始部で1ヶ所の動脈遮断で血流をコントロールできた。腎動脈遮断までに要した時間は中央値73分(46-85)、動静脈離断は115分(66-177)、腎遊離163分(87-200)であり、出血は26ml(10-272)であった。
考察:動脈遮断後の虚脱した右腎静脈の剥離は容易であり、特に静脈裏面における良好な視野展開が可能であった。大動静脈間右腎動脈先行処理により、ほぼ一定の血管処理操作が行え、患者にとって安全な手術が可能と考えられた。