2010.10.21 京都 第24回日本Endourology・ESWL学会総会 口演
原林 透、三浪圭太、池城 卓、鈴木英孝、永森 聡 当施設
北海道がんセンターにおける腹腔鏡下 前立腺全摘除術―その導入と最近の工夫

腹腔鏡下前立腺全摘除術が日本に導入されて10年を経たが、保険の制約、手技の困難さから広く普及するに至っていない。大施設ではない当院における導入と最近の治療成績について紹介する。【対象と方法】2008年8月より病院費用負担での施行10例をもって保険局に申請し受理され、2010年4月まで同術式を67例(中央値年令69才、PSA7.32ng/ml、神経温存26例)に施行した。手術チームは固定された2-3名を基本とし、各ステップの手順を標準化、適宜鉗子支持装置をもちいて省力化に努めた。【結果】手術時間中央値は175分(115-290)、尿込み出血量は412(-2014)mL、同種輸血なし、カテーテル留置期間は5(4-36)日であった。術中合併症として直腸損傷1例(一期的閉鎖にて対処)、術後合併症として尿閉7、吻合部狭窄2(TUI)、下腹壁動脈出血1例(TAE)を認めた。4例では術者+助手1名で施行、11例で第2世代術者が執刀し大きな合併症なく中央値223分で手術を終えている。【結語】腹腔鏡下前立腺全摘除術は出血の少ない安定した手術となった。普及のため固定された手術チームによる次世代術者の育成が必要である。