2011.4.22 名古屋 第99回 日本泌尿器科学会総会 ポスター
池城 卓、安住 誠、三浪圭太、原林 透、永森 聡 当施設
当院における前立腺癌精嚢浸潤の検討

【目的】根治的前立腺全摘除術においては、標準的には精嚢も併せて摘出されているが、近年、勃起・排尿機能温存のために神経血管束のみならず精嚢の温存も検討されている。癌コントロールを損なわずに精嚢温存が可能な症例を、当院で行われた開腹前立腺全摘除術例を対象として後ろ向きに検討した。【方法】当院で1997ー2010年に行われた開腹前立腺全摘除術のうち術前ホルモン療法を施行された105例を除く270例(46〜77歳、平均年齢66.3、PSA2.56〜100ng/ml 中央値11、GS2〜10 中央値7)を対象とした。【結果】精嚢浸潤(+)は31例(11.5%)であった。精嚢浸潤のrisk比をPSA20≧/<20、GS≧8/≦7、cT≧2c/≦2bで見た場合それぞれ3.57、4.69、2.58とPSA≧20、GS≧8、cT≧2cで有意に精嚢浸潤率が高かった。症例をD’Amicoのリスク分類に準じて分類、検討したところ精嚢浸潤(+)はそれぞれ低リスク59例中1例(1.7%)、中リスク93例中6例(6.5%)、高リスク118例中24例(20.3%)であり高リスク群で有意に精嚢浸潤率が高かった。【結論】生検時のPSA、GS、臨床病期は精嚢浸潤有無の予測に有用であり、低リスクであれば精嚢の温存を検討してよいと考えられた