2011.10.28 名古屋 第49回日本癌治療学会 口演
原林 透、大石悠一郎、安住 誠、三浪圭太、永森 聡、鈴木宏明、山城勝重 当施設
原発巣病理がセミノーマでマーカー高値をしめす転移性精巣腫瘍の後腹膜病変の検討

ときに遭遇するHCG高値セミノーマは巨大な腫瘤を有することが多い。IGCCCでHCGがセミノーマのリスク因子として扱われなくなる以前はHullコンセンサスにのっとりHCG高値例は非セミノーマとして扱われていた。これら症例の治療につき後方視的に検討した。【対象】1990年以降当科にて治療した有転移性精巣腫瘍で原発巣病理がセミノーマであった症例20例中、βHCG>200IU/Lであった6例(年令中央値35才)を対象とした。3例はAFP高値であった。
【結果】全例後腹膜リンパ節転移(径中央値100mm、30-150mm)を有していた。AFP高値例のβHCGは337-158,000IU/Lであり化学療法(BEPx3:1例、その他2例)後マーカー正常化し、後腹膜郭清で癌1例、奇形腫1例であった。無病生存は1例。AFP正常の3例のβHCG値は234-40,857IU/Lであり、化学療法(BEPx3:1例、その他2例)後マーカー正常化し、2例で後腹膜郭清施行し病理学的に壊死であり、1例でFDG-PET施行後自然退縮、全例無病生存中である。郭清施行4例中2例で腎合併切除を要した。
【結語】AFP高値例では一般的な非セミノーマよりも壊死の頻度が低く、より積極的な郭清が必要である。一方HCGのみ高値例の予後は良好で、侵襲的な郭清を省いた化学療法単独による治癒が望める。