2011.11.30 京都 第25回日本泌尿器内視鏡学会総会 ポスター
三浪圭太,大石悠一郎,安住誠,原林透,永森聡 当施設
腹腔鏡下膀胱全摘における拡大骨盤リンパ節郭清の成績

【目的】当院では2009年12月より腹腔鏡下膀胱全摘を導入した.浸潤性膀胱癌においては拡大骨盤リンパ節郭清(以下拡大郭清)は正確な病期の診断と予後を改善すると報告されている.当院では2009年導入した腹腔鏡下膀胱全摘においても拡大郭清を施行しておりその成績を報告する【対象と方法】2009年12月から2011年4月までに当院で施行した腹腔鏡下膀胱全摘術症例21例中, 拡大郭清を施行した18例を対象とした.方法は頭低位,5ポートで行い30°レンズを使用.経腹膜アプローチで腹膜切開後大動脈分岐部・仙骨前面・総腸骨・外腸骨・閉鎖・内腸骨節を郭清,状況に応じて外腸骨動脈・S状結腸をテープで牽引した.リンパ節郭清後,膀胱摘除,小切開より腸管利用の尿路変更変向を施行後閉創した.対象症例の手術時間・出血量・合併症・郭清リンパ節数・合併症を検討した【結果】対象の年齢中央値は73歳(47〜82歳),男性11例・女性7例,尿路変更は新膀胱9例,回腸導管8例,尿管皮膚ろう1例であった.3例に術前化学療法が施行された.手術時間の中央値は307分(280〜520 分),拡大リンパ節郭清に要した時間は104分(77〜127分)であった.出血量中央値587ml(142〜2440ml), 同種血輸血は3例で行った.郭清リンパ節数は22個(10〜36個)で2例8個のリンパ節に転移を認めた.観察期間中1例で郭清範囲での再発をみた.遷延する下肢浮腫1例、リンパ漏出1例を認めた。周術期合併症は尿路感染12例,イレウス3例,腸管縫合不全1例、下肢浮腫を5例に認めた【結論】cancer controlについては今後の経過観察が必要である,また時間習熟を要するが腹腔鏡下膀胱全摘術においても拡大骨盤リンパ節郭清は可能であり必要な手技である.