第100回日本泌尿器科学会総会 口頭発表
原林 透、三浪圭太、大石悠一郎、安住誠、永森聡 当施設
内視鏡固定装置を用いた術者2名による腹腔鏡下前立腺全摘除術 "
腹腔鏡下前立腺全摘除術においては、剥離範囲は狭いものの小骨盤腔内での視野展開に膀胱、腹膜の牽引と流出する尿の吸引を行うために、一般的に5本のポートを留置し、術者の他、2名の助手を要する。3名の人員を要するため手術スタッフが変動することが手術の習熟安定化を困難にしている一方、マンパワーの小さい病院での導入の支障となっている。今回、内視鏡固定装置を鉗子固定にもちいてスタッフ2名で同術式を遂行したのでここに紹介する。 【対象】2009/10-2011/09までに内視鏡固定装置を用いて術者+助手の2名で手術を施行した腹腔鏡下前立腺全摘除術症例は14例(年令中央値64.5才、PSA中央値10.4ng/mL、GS 7、BMI 23.7)である。方法は、Montsouris法に準じ、臍と下腹部正中に12mmポート、5mmポートを右2カ所、左1カ所に置いた。スコープは30度レンズを用い、右側ベッドレールに内視鏡固定装置を設置した。リンパ節郭清時は内視鏡固定装置とピーナッツ鉗子にて腹膜を圧排し、前立腺剥離時は尿道留置カテーテルもしくは精管を把持鉗子で牽引挙上した。助手は左手でカメラを操作し、右手で吸引管あるいは把持鉗子を操作し術野を確保した。 【結果】術者:助手の組み合わせは、第1世代術者:第3世代助手13例、第2世代術者:第1世代助手1例であった。手術時間中央値は155分、術中出血量は316mlであった。症例を重ねるに従い、各ステップの手技と固定装置の使用法の標準化がなされた。片手でのカメラ角度調整と静脈叢切断時の吸引管の操作の難易度が高いが、術者のサポートと習熟により次第に遅滞なく操作できるようになった。【結語】内視鏡固定装置を用いた2名による腹腔鏡下前立腺全摘除術は、手技の標準化を見直し、少人数スタッフで可能な費用効率の高い方法である。その術式を供覧する。"