第386回日本泌尿器科学会北海道地方会 口頭発表

三浪圭太、大澤崇宏、安住誠、原林透、永森聡 当施設

腹腔鏡下膀胱全摘における拡大骨盤リンパ節郭清の成績

【目的】浸潤性膀胱癌において拡大骨盤リンパ節郭清(以下拡大郭清)は正確な病期診断と予後を改善すると報告されている.当院で2009年導入した腹腔鏡下膀胱全摘において拡大郭清を施行しその成績を報告する【対象と方法】2009年12月から2012年5月に施行した腹腔鏡下膀胱全摘術症例31例中, 拡大郭清を施行した26例が対象.頭低位,5ポート,30°レンズ使用.経腹膜アプローチで腹膜切開後仙骨前面・総腸骨・外腸骨・閉鎖・内腸骨節を郭清.郭清後,膀胱摘除,小切開より腸管利用の尿路変向を施行した.対象症例の手術時間・郭清リンパ節数・合併症を検討した【結果】対象の年齢中央値は68歳(41〜82歳),男性18例・女性8例,尿路変更は新膀胱12例,回腸導管12例,尿管皮膚ろう2例であった.5例に術前化学療法が施行された.手術時間中央値は338分(280〜520 分),拡大リンパ節郭清に要した時間106分(82〜137分)であった.郭清リンパ節数は25個(10〜50個)で3例9個のリンパ節に転移を認めた.観察期間中1例で郭清範囲での再発をみた.遷延する下腿浮腫2例,リンパ漏出1例を認めた【結論】cancer controlについては今後の経過観察が必要である.習熟を要するが腹腔鏡下膀胱全摘術においても拡大骨盤リンパ節郭清は可能な手技である.