2012/10/13 札幌市 第387回日本泌尿器科学会北海道地方会 口頭発表

安住誠、大澤崇宏、三浪圭太、原林透、永森聡 当施設

腎門部埋没型腎癌に対してCUSAを用いて腹腔鏡下腎部分切除を行った1例

【諸言】近年慢性腎疾患の概念が普及し、腎温存手術の重要性が高まっている。腹腔鏡下腎部分切除術は低侵襲手術であるが、腫瘍位置によっては困難な場合も多い。CUSAは脈管以外の組織を選択的に破砕、吸引を行うことが可能である。腎機能低下症例に発生した腎癌に対してCUSAを用いた腹腔鏡下腎部分切除術を施行した。【症例】75歳男性。糖尿病で他院通院中右腎腫瘍を指摘。3.1cm大で、腎洞に位置する造影効果の高い腫瘍を認めた。血清Cr1.65mg/dlと第1期の糖尿病性腎症であった。DTPAシンチでは患側53.3%であった。遠隔転移なく、T1aN0M0の腎癌と診断した。腎全摘では将来的な血液透析移行の可能性が高いと判断し、2011年11月腹腔鏡下経腹膜的腎部分切除術を施行した。CUSAを用い、腎洞脂肪を吸引し腎動静脈分枝を露出剥離後に、腎動脈本幹を遮断。腎洞側から腫瘍周囲実質を切離して腫瘍を摘出した。手術時間は5時間、阻血時間は32分、出血量は428mlで同種血輸血は要さなかった。病理診断はRCC G2で、断端陰性であった。術後6か月のシンチでは患側51.1%、Cr1.53mg/dlと変化を認めなかった。【結語】腎門部埋没型腎癌に対する腹腔鏡下腎部分切除術ではCUSAは有用であった。