2013/1/26 札幌 第388回日本泌尿器科学会北海道地方会 口頭発表

大澤崇宏、安住誠、三浪圭太、原林透、永森聡 当施設

当院における前立腺がん死症例の検討

"目的 前立腺がん死症例について、転移の出現・化学療法の導入・緩和的な介入 (尿路・糞路)が、前立腺がん死のどのくらい前に確認されたかを分析することで、前立腺がんの多彩な病態に一歩でも近づく目的で検討を行った。 対象と方法 1998年1月から2009年12月までに北海道がんセンターで前立腺がん治療を行ったうち、2012年12月までに前立腺がん死した62例を対象とした。当院で前立腺がん治療が行われた症例のうち、がん死症例についてその生存期間を解析し、転移部位および転移判明からがん死までの期間、化学療法が行われた時期および治療中の転移判明部位、がんの進展に伴う緩和的な介入 (尿路・糞路) からがん死までの期間について後方視的に検討を行った 結果 年齢の中央値70(50-85)歳、生存期間中央値41(0-196)ヶ月、初診時PSA中央値125(5.2-6892)ng/ml。初期治療 小線源挿入1例、前立腺全摘7例、放射線照射2例、ホルモン治療52例。転移部位出現からがん死までの期間の中央値。肺30ヶ月、脳2ヶ月、肝1ヶ月、神経麻痺を伴う骨転移5ヶ月、リンパ節転移22.5ヶ月、骨転移30ヶ月。DP療法導入は22例でがん死の中央値19ヶ月前より導入されていた。DP療法中の転移出現部位で最も多かったのは肝転移であった。尿路介入20例に行われ、その内訳(がん死までの期間の中央値)は腎瘻(3ヶ月)、尿管ステント2例(11ヶ月)、膀胱瘻2例(16.5ヶ月)、TUR-P2例(11.5ヶ月)、TU-EK3例(15.3ヶ月)、尿道カテーテル留置10例(4ヶ月)。死亡の直接的な原因は肺炎を含めた感染症が40%と最も多く、特にその25%はMRSA肺炎であった。 結語 前立腺がん死症例について、転移の出現・化学療法の導入・緩和的な介入 (尿路・糞路)が、前立腺がん死のどのくらい前に確認されたかを分析した。 "