日 時: | 平成17年11月23日(水) 午後1時30分〜午後4時 |
場 所: | 札幌プリンスホテル 国際館パミール 6F[大雪日高](札幌市中央区南2条西11丁目) ※地下鉄東西線11丁目駅より徒歩4分、市電中央区役所前より徒歩4分 |
○ 開会あいさつ | |
13:30〜13:35 | 独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター 院 長 山下 幸紀 (やました こうき) |
司会/副院長 内藤 春彦 (ないとう はるひこ) |
○ VTR (呼吸器科『インフォームド・コンセント ライブラリー』) | |
13:35〜13:45 | |
I . 低侵襲外科治療の進歩と今後 | |
13:45〜14:25 | 呼吸器外科医長 近藤 啓史 (こんどう けいし) |
現代医学の急速な発展にもかかわらず、がんの発生数、死亡数は増大し続けています。今は、がんになっても早期で見つかることが重要となってきています。皆様の中には「私は絶対がんにならない」という頑固な方がおられます。症状が出てからでは救けられませんので、検診、人間ドックを定期的に受けることを勧めます。
さて、今回のテーマは早期に見つかった人、進行がんでない人にとっての手術法を肺がんに的をしぼってお話をします。
肺がんの標準手術は、がんのある肺葉を丸ごと切除し、リンパ節を周囲の脂肪とともに取るリンパ節郭清(かくせい)からなります。そのために30cm以上の切開が必要です。しかし、カメラ、テレビモニターなど光学器械の進歩により、現在では8cm以下の傷で手術が出来るようになりました。また、発見がより早く、初期の肺がんには肺を小さく取ったり、リンパ節を取らない縮小手術も行われています。これらを総称して低侵襲(しんしゅう)外科治療といいます。映像などを使い最先端のお話をします。
II . オーダーメイド治療に向けたがん薬物療法の進歩 | |
14:25〜14:55 | 呼吸器科医長 磯部 宏 (いそべ ひろし) |
がん薬物療法の成績の向上のためには、新しい抗がん剤の開発とならんで、患者さん一人ひとりの抗がん剤の感受性、つまり抗がん剤が効くか否かを事前に予測する方法の研究が重要です。この研究により患者さん個々に合った医療の提供、すなわちオーダーメイド治療が可能になり、副作用が必発するがん治療に大きく貢献すると考えられています。
このオーダーメイド治療ではがん細胞の遺伝子によって薬剤感受性を予測したり患者さん本人の遺伝子レベルで薬物の代謝状態を予測したりして、抗がん剤の効果や副作用の多寡を事前に推測することが可能になると考えられています。現在種々の腫瘍において、このような試みが少しずつ行われるようになってきています。
今回の講演では、特にがん細胞の特性を踏まえた上で開発されている新しい種類の抗がん剤と、患者さん個々での効果や副作用を事前に推測しようとする取り組み−オーダーメイド治療−について紹介します。
○ 質疑応答 |
14:55〜15:00 |
−−− 休憩 (15:00〜15:10) −−− |
---|
○ VTR (『放射線科の現況』) | |
13:35〜13:45 | |
III . IT技術を活用した放射線治療の展開 | |
15:20〜16:00 | 統括診療部長 西尾 正道 (にしお まさみち) |
IT技術の進歩を背景に、がんの診断と治療は大きく変化しつつあります。画像診断の領域では、人体情報の組織密度や信号の違いをIT技術により高速に処理して画像化し、低侵襲で小さな病巣も発見できる時代となりました。
この早期のがん病巣の検出により、切除治療においては縮小手術も標準化しました。また、化学療法でも細胞毒としての抗がん剤から、がんの増殖に関係している因子だけに作用させて効果を狙う分子標的薬の使用と開発が進んでいます。そして放射線治療の領域でも、ピンポイント照射に代表される技術により、がん病巣にだけ絞り込んで照射することが可能となりました。
こうした各領域の進歩により、がん医療は「早期発見・早期治療」という概念から、「適時発見・適切治療」という概念に変わりつつあります。また、がん患者さん達もより良いがん治療を求めて声を上げ始めています。
講演では、こうした医学の進歩と医療環境を取り巻く社会状況の変化を医療の「パラダイムシフト」として捉え、今後のがん医療について共に考えたいと思います。
○ 質疑応答 | |
16:00〜16:05 | |
○ 閉会あいさつ | |
16:05〜16:10 | 独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター 副院長 内藤 春彦 |