北海道がんセンター 麻酔科
「麻酔科医」って実際には何をする医者だろうと思ったことはありませんか?
麻酔科は、医療の中ではわりと歴史が浅く、今から半世紀ほど前、手術麻酔を専門に担当する診療科として生まれました。麻酔科ができるまでは看護士や外科医が片手間に麻酔を行っていたのですが、手術の適応となる疾患の多様化と手術技術の高度化により、麻酔を特に専門とする医者が、ひとりひとりの患者さまに合った方法で、安全に麻酔を行うことが必要とされてきたのです。
様々な疾患、手術、からだの状態に合わせて麻酔を行うために、麻酔科医は人間のからだの生理学的なしくみや構造、それぞれの臓器のはたらき、ストレスに対する反応をよく知っていなければなりません。呼吸や心臓の動きが弱まった時、一時的にそれらのはたらきを助ける手段(人工呼吸、心臓マッサージなど)について経験を積んでいます。
また、麻酔薬についてだけでなく、呼吸や心臓のはたらきを助ける薬、痛みどめの薬、出血を抑える薬など、多くの薬物の作用や使い方を熟知しています。
このような知識、技術を用いて、現在、麻酔科医の携わる仕事は手術麻酔だけでなく、救急医療のような一刻を争い命を救う現場や、重症患者を治療する集中治療、ペインクリニック(痛みの治療)、癌の緩和医療にいたるまで、広い範囲にわたっています。