医療の高度化に伴い、薬物療法も複雑になってきています。患者さんが最適な薬物療法を安全に受けられるように、薬剤師は最新の情報収集に取り組んでいます。薬物療法の効果を最大にするためには患者さんの理解が必要となりますので、しっかりとした薬学的管理を行い安心して納得した薬物療法を受けていただけるように努めています。
入院だけではなく外来で内服の化学療法を行う場合にも、薬剤師外来で患者への指導や状況確認を行い、保険薬局と連携することにより、安心して化学療法を受けられる体制を整えています。
薬物療法に不安や疑問がある場合は、遠慮せずに薬剤師に相談してください。
薬剤部長 橋下 浩紀
医薬品に関する情報の収集、整理、保管、発信を担当しています。
現在、北海道がんセンターで採用しているレジメン一覧を紹介しております。 あくまでも基本であり、患者さんの状況に応じ修正していることもあります。 閲覧は自由ですが、無断転用禁止とさせて頂きます。無断転用による責任は負いかねます。
現在、保険薬局との勉強会はWebにて開催しております。開催日時は、北海道がんセンターレジメンカフェ専用メーリングリスト内にて公開しております。参加希望の方は、医薬品情報管理室のまでメール(hcc.di.2019@gmail.com)にてご連絡ください。このメーリングリスト内にて様々な情報交換を行っております。
2020年度診療報酬改定で新設となりました外来化学療法の「連結充実加算」ですが、当院でも算定する運びとなりました。その際に必要となります「化学療法経過記録票」は下記を参照下さい。
当院では医療安全、医薬品適正使用の観点から、特に継続的なモニタリングやサポートが必要である経口抗がん剤、化学療法剤に関して、現在、薬剤ごと、治療ごとのトレーシングレポートを導入しています。保険薬局にて「処方医師への情報提供が望ましい」と判断された内容についてFAXにてトレーシングレポートを送信願います。薬剤部で受理後、確認し、
医師へ情報伝達を行い、情報の共有化を図ります。
必要に応じて、下記様式をダウンロードしていただき、事項をご記入いただいた後、FAXにて薬剤部までご送信ください。
FAX送付先:011-805-0240
【乳腺外科】
【泌尿器科】
【消化器内科】
【婦人科】
【呼吸器内科】
注意:トレーシングレポートは疑義照会ではありません。疑義照会はこれまで通り処方医へ連絡し確認しますようお願いいたします。
免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象に関する情報提供の強化を目的に、ICIシール(治療中、終了後)とトレーシングレポートの運用を開始しました。トレーシングレポートの運用については下記の運用方法に関する資料を参照下さい。
※印刷シートの例
エーワン パソコン&ワープロラベル RICOHリポートシリーズタイプ 14面 20シート 品番:28181参照
問い合わせ:北海道がんセンター薬剤部 医薬品情報管理室 高田
TEL:011-811-9111、FAX:011-825-5098
Mail:hcc.di.2019@gmail.com
入院で治療されている患者さんに対して、最適な薬物治療の実践のために、当院では、チーム医療の一環として、全病棟に専任の薬剤師を配置しています。各病棟の担当薬剤師は、入院した患者さんが持参されたお薬の確認を行うとともに、患者さんやご家族と直接面談させていただき、アレルギー歴、副作用歴などの内容を聴取して、得られた情報を医師等へ提供し、必要に応じて処方の設計・提案を行っています。
また、病棟カンファレンスや病棟回診にも参加し、他の医療スタッフと情報交換を行い、よりよい医療を提供できるよう活動しております。これ以外にも、お薬に関するご相談も随時受けており、患者さんが安心して薬物治療を受けられるようにお手伝いしています。
お薬について、困っていることや聞きたいことがありましたら、病棟担当薬剤師にお気軽に声をおかけください。
外来通院で抗がん薬治療を受けている患者さんに対して、最適な薬物治療のために薬学的視点から治療の支援を行っています。通院治療センターでは、点滴治療を受けている患者さんへの面談も行っています。副作用による問題が生じていないか等を確認し、必要に応じて医師への処方提案等を行い、適切な薬物治療の提供に努めています。また、新規に抗がん薬治療を開始される患者さんへは抗がん薬の服用方法やスケジュール、副作用に関する説明も行っています。これ以外にも、患者さんからの薬物治療に対する相談について随時対応し、適切な薬物治療継続の支援を行っています。
近年、新たな経口抗がん剤の治療を受ける患者さんが増えています。その副作用は注射薬とは異なった症状を起こす薬剤も多く、円滑な治療を進めるためには副作用の管理がとても重要となります。服薬継続によりこれらの薬剤の治療効果を得ることができると考えられています。そこで、当院では、副作用により治療中断を可能な限り避けるための取り組みとして、薬剤師外来を開設しています。薬剤師外来の役割は外来で経口抗がん剤治療が開始される患者に対して服薬指導を行い、次回以降の受診時からは医師の診察の前に薬剤師による問診を行い、問診情報を医師へ還元すると共に副作用に対する薬物治療の提案等も行っています。
医師の処方箋に従ってお薬を調合する仕事「調剤」を中心に行っています。主に飲み薬の内用剤、貼り薬や塗り薬などの外用剤を調剤しています。調剤の流れを簡単に紹介します。処方箋の内容を確認し、薬の量や飲み方を確認するのはもちろん、同じ効能の薬が重複していないか、飲み合わせの悪い組み合わせ(薬物相互作用)がないかなどチェックする処方監査を行います。処方箋の指示に従い薬剤を取りそろえます。
最後に、調剤監査者がもう一度処方箋の内容、薬袋の記載事項、処方のお薬を確認し
調剤が完了します。
患者さんに使用される注射薬について、医師の注射処方箋に基づき、患者さんごとにセットを行う業務です。注射処方箋の内容を確認し、投与量や投与方法、それぞれの注射剤同士の混合時の安定性や配合変化、他に使用される薬との相互作用等について問題ないか等をチェックし、問題がないことを確認した上で患者個人毎に分けて払いだしています。
医薬品の在庫管理は日々の薬剤使用量を把握し、適正在庫の管理と発注業務を行っています。
製剤室では院内特殊製剤の調製や消毒剤の払い出しを行っています。
無菌性の製剤の場合には、クリーンベンチ等を使用し有効性・安全性の面からも品質の
確保に注意を払っています。
その他、以下の業務等も行っています。
ハザード室では、抗がん剤の適正使用に向けた業務を主に行っています。
抗がん剤を取り扱う上では「使用する患者さんへの安全性と有効性の確保」と「調製など使用する医療従事者側の安全性の確保」を常に念頭に入れる必要があります。
当院では電子カルテによるオーダリングシステムを採用し、“レジメン(治療計画)”オーダーシステムの運用し、セーフティーマネージメントの向上に努めています。そしてコンピュータ管理のみではなく薬剤師による最終確認を行い治療の安全性を確保しています。
また、実際に調製する者の安全性を確保し、かつ無菌的な調製を行うために、“安全キャビネット”を設置し、薬剤師が抗がん剤の計量調製・監査を行い、安全性の確保に努めています。
ハザード室業務内容
レジメンチェックの様子です
ハザード室は、室内の汚染源となる空中に浮遊する微粒子や浮遊微生物を特殊なフィルター(HEPAフィルター)を用いて除去することにより、常に空気清浄度の高い状態を保っています。
安全キャビネットは、キャビネット内のエアーバリアにより汚染された空気が調製者側に流れるのを防ぎ、またHEPAフィルターを通して給排気されるため調製者を抗がん剤のエアロゾル発生による暴露から守り、キャビネット内の無菌状態を保っています。
安全キャビネット内の清掃に直接電気分解式のオゾン水を使用しています。
当院の薬剤部はがん治療の専門病院であるという特殊性から学ぶべく専門知識(内服抗がん薬のスケジュール、適切な支持療法、曝露対策スキル、緩和医療など)は多く、また、複雑な病態との関連性も身につけ、多角的な視点が求められるため、がん専門病院としての教育体制が必要になります。入職後から、チーム医療の一員として、がん薬物療法のトータルマネジメントを提供できるようになることを目標として薬剤部内勉強会などを通じて研鑽を積んでおります。がん専門薬剤師などの認定取得を希望するスタッフに対しては、積極的に取得者からのサポートし、効率的な資格取得に向けて日々研鑽しております。
また、さらに当院は北海道がん診療拠点病院として認定されていることから、外部からの研修体制にも力を入れております。がん専門薬剤師養成研修、がん薬物療法認定薬剤師研修の3ヵ月研修を終了し、認定取得後、道内の地域がん診療連携拠点病院にて活躍中です。最近では、がん薬物療法認定薬剤師研修に準じ、保険薬局からの研修生も受け入れており、外来がん治療認定薬剤師を取得している方も出ております。この認定取得が終点ではなく、その後の研修を兼ね、北海道がん化学療法薬剤師研修会等を開催し、がん治療に関わる薬剤師のボトムアッププログラミングとして実施運営等もしております。
◆学会発表
◆日本医療薬学会 がん専門薬剤師研修施設
◆日本医療薬学会 医療薬学専門薬剤師研修施設
◆日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師研修事業研修施設
◆日本緩和医療薬学会 緩和医療専門薬剤師研修施設
◆地域薬学ケア専門薬剤師研修施設
◆日本臨床腫瘍薬学会 がん診療病院連携研修認定病院
令和元年度
第1回保険薬局薬剤師がん薬物療法研修生
2名
がん診療病院連携研修
【2021年度】
第1期 2名
第2期 2名
【2022年度】
第2期 2名
【2023年度】
第1期 2名
第2期 1名
研修受入人数
【平成18年度〜29年度】
合計37名
【平成30年度】
第1期 1名、第2期 1名
【2021年度】
第2期 1名
【2022年度】
第2期 1名
【2023年度】
第2期 1名
2018年度
Skin Disorders and Primary Tumor Location as Prognostic Factors in Patients With Metastatic Colorectal Cancer Treated With Cetuximab and Chemotherapy.
Asian Pac J Cancer Prev. 2018 Aug 24;19(8):2325-2330.Shinya Takada, et al
2019年度
Axitinib-Induced Hypothyroidism as a Predictor of Long-Term Survival in Patients With Metastatic Renal Cell Carcinoma.
Urol Int. 2019;102(4):435-440.Shinya Takada, et al
2020年度
Predictors of the onset of type 1 diabetes obtained from real-world data analysis in cancer patients treated with immune checkpoint inhibitors.
Asian Pac J Cancer Prev. (21 (6), 1697-1699、2020)Shinya Takada, et al
2021年度
Effect of Systemic Corticosteroid Therapy on the Efficacy and Safety of Nivolumab in the Treatment of Non-Small-Cell Lung Cancer
Cancer Control. (Jan-Dec 2021;28:1073274820985790)Kengo Umehara, et al
Identifying early predictive markers for immune-related adverse events in nivolumab-treated patients with renal cell carcinoma and gastric cancer
Asian Pac J Cancer Prev, 23 (2), 695-701Shinya Takada, Kengo Umehara, et al
2022年度
アンケートを用いた市中歯科医師の薬剤耐性対策アクションプラン認知度による内服抗菌薬の使用動向と薬剤師とのかかわりに対する実態調査
大滝康一,濱みゆき,高田翔和,岩山訓典,田嘉一
医療薬学 48(7): 292-301, 2022
Renin-angiotensin system inhibitors may have an advantage over calcium channel blockers in reducing proteinuria in gastric cancer patients receiving ramucirumab.
Biomedical Reports 17(3):76, 2022
Takeshi Chiba, Kengo Umehara, Shinya Takada, et al
Prognostic Model of Baseline Medications plus Neutrophil-to-lymphocyte Ratio in Patients with Advanced Non-small-cell Lung Cancer Receiving Immune Checkpoint Inhibitor plus Platinum Doublet: A Multicenter Retrospective Study.
Journal of Cancer. 14 (5), 676-688,2023
Izumi Nasu, Shinya Takada, et al
Correlation between antibiotic use and antibiotic resistance: A multicenter study using the Japan Surveillance for Infection Prevention and Healthcare Epidemiology (J-SIPHE) system in Hokkaido, Japan
American Journal of Infection Control 51(2):163-171, 2023
Keisuke Kagami, Kengo Umehara, et al
2023年度
2094P A multicenter phase II trial of the triplet antiemetic therapy with palonosetron, aprepitant and olanzapine for highly emetogenic chemotherapy in breast cancer
Annals of Oncology 34, S1100,2023
Shinya Takada, et al
Association between Area under the Curve Estimated from Carboplatin Dose and Incidence of Severe Thrombocytopenia in Patients with Non-Hodgkin’s Lymphoma on DeVIC Therapy
Asian Pac J Cancer Prev. 24 (6), 1963-1969, 2023
Kengo Umehara, Shinya Takada, et al
Clinical Management of Potential Toxicity of Abemaciclib and Approaches to Ensure Treatment Continuation
Asian Pac J Cancer Prev. 24 (6), 1955-1962, 2023
Shinya Takada, Kengo Umehara, Hirokazu Hashishita, et al
Real-World Predictors of Severe Neutropenia Associated with Palbociclib and Endocrine Therapy for Metastatic Breast Cancer in Japanese Patients
Biological and Pharmaceutical Bulletin 46 (8), 1105-1111,2023
Shinya Takada, Kengo Umehara, Kozo Mino, et al
Serum Albumin Affects the Time-to-treatment Failure of Alectinib: A Multicenter Retrospective Study
in vivo 37: 2260-2267, 2023
Kengo Umehara, Shinya Takada, Kayo Yamagishi, Kozo Mino, et al
Risk Factors for Eribulin-induced Severe Neutropenia in Patients with Recurrent Breast Cancer. in vivo 38 (1), 500-505,2024
Shinya Takada, Kengo Umehara, Yuta Kimura, Yuta Fukai, Hirokazu Hashishita, et al
Analysis of Vascular Endothelial Growth Factor Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor-Induced
Left Ventricular Dysfunction
Journal of Biophysical Chemistry 14, 67-78, 2023
Yasuhisa Hashino, Kengo Umehara, Shinya Takada, et al
Detection of factors related to treatment reduction in docetaxel and ramucirumab for non-small cell lung cancer treatment
Scientific Reports 13 (1), 19457,2024
Yoshitaka Saito, Shinya Takada, et al
◆日本医療薬学会認定 がん指導薬剤師
◆日本医療薬学会認定 がん専門薬剤師
◆日本医療薬学会認定 医療薬学専門薬剤師
◆外来がん治療認定薬剤師(APACC)
◆外来がん治療専門薬剤師(BPACC)
◆日本緩和医療薬学会認定 緩和薬物療法認定薬剤師
◆日本緩和医療薬学会認定 暫定緩和薬物療法指導薬剤師
◆日本臨床薬理学会認定 CRC
◆日本臨床栄養代謝学会 栄養サポートチーム専門療法士
◆認定実務実習指導薬剤師
◆日本病院薬剤師会認定 病院薬学認定薬剤師
院内における医薬品情報提供活動については、添付ファイルを参照ください。
当院採用薬以外の薬剤に関してMR活動を行う場合は、必ずDI室で許可を得てください。
院内医薬品PR届出書の提出が必要になります。必要に応じてダウンロードいただき、DI室まで提出をお願い致します。
なお、許可申請を行う際は、「院内医薬品PR届出書」の他に添付文書、インタビューフォーム、製品情報概要をDI室にご提出ください。
また、連絡先、担当者等が変更となる場合は、速やかにDI室にご連絡ください。
当院では、厚生労働省医政局長通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」(平成22年4月30日)に基づき、令和5年8月21日より業務改善の一環として、病院医師と薬剤師及び保険薬局薬剤師の業務負担軽減と患者の待ち時間短縮を目的とし、北海道がんセンター調剤事前申し合わせ協定(疑義照会簡素化プロトコル)を運用しております。
なお、本プロトコルの運用開始にあたっては、薬剤部担当者からの説明をお聞きいただいたうえで合意を交わすことが必須となります。本プロトコルへの参加をご希望される保険薬局は、調剤主任(011-811-9111:PHS:7091)までご連絡ください。