当院は病院の性格上、長めで大きな手術が多いのですが、例年2000件前後の症例に麻酔科が関わっています。
患者さんにとって低侵襲な内視鏡手術の割合も増加しています。10年前であれば内視鏡で行うことはあり得ないと思われた術式も、安全かつ高い精度で内視鏡で行えるようになりました。
一般的な内視鏡手術に加えて、3D画像を利用した(手術支援ロボットの)ダヴィンチによる手術も開始されています。2014年1月からはダヴィンチによる泌尿器科の前立腺全摘術、RALPが開始されました。その後、婦人科、消化器外科でもダヴィンチによる手術が開始されています。
当院の手術室には麻酔科用のエコーが3台あります。エコーガイド下の神経ブロックや、エコーガイド下の血管ルート確保(抹消ルート、Aライン、CV、PICC)に大いに活用しています。
その中でもエコーガイド下で上腕から挿入するPICC(peripherally inserted central venous catheter:末梢静脈留置型中心静脈カテーテル)ではエコーが大活躍しています。他科からのPICC挿入の依頼も多く、年間800例近く挿入しています。
化学療法や高カロリー輸液を行うときには、従来は鎖骨下静脈から中心静脈カテーテルを挿入する必要がありました。しかし、鎖骨下静脈へのカテーテル挿入は一定の頻度で合併症がおきる可能性がありました。
それに対してPICCは、合併症が少ない(気胸、血胸は皆無)、感染率が低い、閉塞が少なく長期留置症例が多い(最長15ヶ月)などの利点が多くあります。PICCは、エコー下での穿刺が必要で、ある程度の技術と経験を要します。しかし、一度挿入すると、トラブルがなければ長期留置が可能で、点滴のたびに針を刺さなくてすみ、患者さんからは好評です。
PICCに限らず、血管が体表からは見えない患者さんの点滴ルート確保(末梢血管確保)やAライン確保にもエコーが有用で、患者さんの苦痛の軽減と安全に役立っています。
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〔麻酔科医長〕
〔麻酔科医師〕
〔麻酔科医師〕
〔麻酔科医師〕