「間質性肺炎合併肺癌切除患者における術後急性増悪予測リスクスコア
バリデーションスタディ」への参加のお願い
【はじめに】
肺がんの患者さんの中には、間質性肺炎(かんしつせいはいえん)といって、なんらかの原因で肺に慢性的な炎症が起きて、肺の組織がかたくなる(線維化(せんいか)といいます)状態を合併している人がいます。
そして、間質性肺炎を合併している患者さんの中には、10%くらいの割合で、手術後に間質性肺炎の症状が急速に悪化する人がいます。急速に悪化することを「急性増悪(きゅうせいぞうあく)」といいますが、これが起きると、回復が難しく、亡くなられる方もいらっしゃいます。間質性肺炎の治療としては、酸素吸入、ステロイドホルモン剤や抗線維化剤などがありますが、急性増悪の際は、これらの治療も効果がない場合が多くあります。
【研究方法】
研究に必要なものは、手術前から手術後1か月までの間の診療データです。診療や手術を記録したカルテから、間質性肺炎の状況、手術の術式、呼吸機能の検査値、使用した薬剤に関するデータを集めます。これらはいずれも、通常の診療や手術の際に得られるデータであり、研究の目的で新たに検査をしたり薬を飲んでもらったりすることはありません。したがって、本研究に参加することで、新たなリスクが生じることはありません。
なお、参加してくださった患者さんのその後の経過についても調べますので、およそ3年後の時点で、お身体の状態を調べます。これもカルテからデータをいただくだけですので、患者さんに直接ご連絡したりすることはありません。
【患者さんの個人情報の管理について】
本研究にて得られたデータ及び結果は、専門の学会や学術雑誌に発表しますが、その際は患者さんが特定される情報が公表されることはなく、プライバシーは適切に保護します。なお、3年を経過したあたりでも医療情報を調査しますので、あなたがほかの病院にかかっていた場合は、当院からこの研究に参加していることをお知らせして、あなたの診療情報を提供いただく場合がありますので、ご了承ください。
また、この研究で得られたあなたの病理組織や検査結果、カルテ情報等のデータは、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。したがって、将来新たに計画・実施される医学研究に利用することをご了承いただければ幸いです。その際は、日本呼吸器外科学会の学術委員会・理事会で審査し、承認を得てから、使用します。
【研究期間】
2017年2月から2020年2月までの予定です。
【医学上の貢献】
間質性肺炎を合併している患者さんには、急性増悪が起きないように、何らかの予防措置や有効な治療などの対策を取る必要がありますが、何が原因で急性増悪が起きるのかは、よくわかっておりません。そこで、間質性肺炎があり、肺がんの手術を受ける方を登録して、病状や手術の様子、手術後の様子などについて、データを調べさせていただくことで、間質性肺炎の急性増悪の要因を探して、予防法や治療法の開発に役立てる可能性があると考えられます。
【主任研究者】
日本呼吸器外科学会 理事長 奥村明之進
京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 伊達洋至
【研究事務局】
京都大学医学部附属病院臨床研究総合センター 佐藤寿彦
電話:075-366-7675