2021年に外科手術を施行された肺癌患者の
データベース研究についてのご説明
【研究責任者】
所属 呼吸器外科
職名 医長
氏名 安達 大史
連絡先電話番号 011-811-9111
【実務責任者】
所属 呼吸器外科
職名 医長
氏名 安達 大史
連絡先電話番号 011-811-9111
このたび当院では、上記のご病気で入院・通院された患者さんの診療情報を用いた下記の医学系研究を、臨床研究倫審査委員会の承認ならびに病院長の許可のもと、倫理指針および法令を遵守して実施します。
この研究を実施することによる、患者さんへの新たな負担はありません。また、患者さんのプライバシー保護については最善を尽くします。
本研究への協力を希望されない患者さんは、その旨を外来の担当医にお伝え頂くか、「9.お問い合わせ」に示しました連絡先までお申し出下さい。
【1.対象となる方】
2021年1月1日より2021年12月31日までの間に、当院呼吸器外科にて原発性肺悪性腫瘍(肺がん)の外科治療を受ける方
【2.研究課題名】
承認番号:02-53
研究課題名:2021年に外科手術を施行された肺癌患者のデータベース研究
【3.研究実施機関】
千葉大学医学部附属病院・呼吸器外科
共同研究機関
研究代表者
研究責任者 伊達洋至
肺癌登録合同委員会 委員長
京都大学大学院医学研究科呼吸器外科学
研究事務局 吉野一郎
肺癌登録合同委員会 事務局長
千葉大学大学院医学研究院呼吸器病態外科学
【4.本研究の意義、目的、方法】
肺がんは肺に発生する悪性腫瘍で、喫煙や大気汚染がその発生に関与しています。肺がん患者数は増加傾向にあり、我が国では2014年には約11万3千人(男性77,617人、女性36,933人)が新たに診断されていると推定されています。一方、肺がんによる死亡者数も増加傾向にあり、2017年には約7万4千人(男性53,002人、女性36,933人)に達しています。
肺がんを確実に早く治療するには、早期発見と根治手術が最も確実な治療法とされており、全ての肺がん患者さんの約50%が手術を受けています。肺がんの病状によっては、手術前に放射線療法や化学療法またはその組み合わせ治療を受けたり、手術後に化学療法や放射線療法を受けたりする場合もあります。そして手術を受けた約半数の患者さんは、手術時に見つからなかった場所のがんが手術後に発見される事があり、さらに治療を要する場合もあります。
以上のように肺がんの手術治療を受ける患者さんは、病状や全身状態によって多彩な経過をたどることになります。肺がんの治療成績は年々向上していますが、患者数は未だ増加傾向にあるため、今後さらに新しい検査、手術技術や薬物など、診断や治療方法の開発が必要です。そのためにも、約7000人規模の全国的な多施設共同研究が必要と考えられます。
この研究を行う肺癌登録合同委員会は、日本呼吸器外科学会、日本肺癌学会、日本呼吸器学会、日本呼吸器内視鏡学会、日本胸部外科学会が共同で運営している組織で、5年ごとに我が国で肺がんの外科治療を受けた患者さんの情報を集め、治療状況を調査しています。このようなデータを調べることで、肺がん治療成績の向上に貢献するとともに、世界共通の評価基準を作ることに協力してきました。
今回は、2021年に手術を受けた患者さんの情報を集めて分析します。また、国際的なデータベースに協力し、肺がん診療の世界基準の構築に貢献いたします。
【5.ご協力いただく内容】
従来、肺がんの手術を受ける方は、ナショナルクリニカルデータベース(NCD)というシステムに手術情報、診療記録、臨床検査データ、診断用画像情報、病理組織情報を登録しています。それに加え、本研究では、術後経過中に観察された再発や手術以外の治療、健康状態などについても登録し、解析します。詳細な内容は別紙をご参照下さい。なお、本研究は、通常の臨床において診療記録に記載されている情報のみを用いて行う観察研究ですので、患者さんに本研究のために特別な検査や処置をお願いすることはありません。
【6.本研究の実施期間】
西暦2021年1月1日~2029年12月31日
【7.プライバシーの保護について】
1)本研究で取り扱う患者さんの診療情報は、患者さんを特定できるような情報を全て削除し、コード番号などで匿名化した上で院外の施設に提供し使用します。
2)患者さんの個人情報と、匿名化した診療情報を結びつける除法(連結情報)は、本研究の当院の研究責任者や個人情報管理者【他の者が管理する場合は適宜記載】が研究終了まで厳重に管理し、研究の実施に必要な場合のみ参照します。
3)なお連結情報は当院内のみで管理し、他の共同研究機関等には一切公開いたしません。
【8.データの保管、利用および廃棄について】
各施設からNCDシステム上に入力されたデータは、胸部腫瘍データベースとして集積され、NCDサーバー上で保管されます。NCDに集積されたデータは、研究事務局が定めるデータ解析センター(東京理科大学理学部数学科)へ送られ解析されます。その際情報の輸送は、物理的手段あるいは最新の安全措置がされたwebシステムを介して行います。データ解析センターでは、外部と接続されていないパーソナルコンピュータにデータを入力し保管します。 解析されたデータは、今回の研究に参加を希望する全国の大学医学部附属病院、および地域の基幹施設で、論文作成等に利用されます。論文等の発表から10年まで、各施設から送付された登録資料を保管します。 本研究で構築され匿名化されたデータベース(添付資料の項目)を、海外の国際的学術団体であるInternational Association for the Study of Lung Cancer(Scientific Affairs (13100 E. Colfax Ave., Unit 10 Aurora, Colorado 80011, USA, Office: +1 (720) 598-1941)に供出し、肺がんの進行具合を示す指標であるTNM分類の改定作業の基礎データとします。データはウェブ環境に接続されていないコンピュター上で厳重に10年間管理され、その後破棄されます。
【9.お問い合わせ先】
本研究に関する質問や確認のご依頼は、下記へご連絡下さい。また本研究の対象となる方またはその代理人(ご本人より本研究に関する委任を受けた方など)より、研究参加の拒否のお申し出があった場合は、適切な措置を行いますので、その場合も下記へのご連絡をお願いいたします。
千葉大学医学部附属病院・呼吸器外科
吉野一郎 鈴木秀海
連絡先:TEL:043-222-7171
FAX:043-226-7246
【通常NCDに登録する情報(一次情報)】
- 項目
- 内容
- 患者基本情報
- 生年月日、性別、登録の可否
- 入院情報
- 入院日、救急搬送の有無、居住地の郵便番号、入院時の診断名
- 手術前情報
- 緊急手術の有無、手術年月日、原発性悪性腫瘍手術、身長、体重、BMI
全身状態、呼吸機能検査の結果、術前並存症、喫煙指数、禁煙期間 - 肺癌に関する情報
- がんの大きさと深さ、組織型、病期、画像、病理等、同時多発肺癌の有無
- 周術期治療情報
- 手術前導入療法、補助化学療法等
- 手術情報
- 術式、アプローチ法、手術時間
主な肺切除部位(右肺、左肺、気管・気管支のみ)
手術責任者、同時手術の有無と術式、麻酔科医の関与の有無
画像支援システムの使用状況、生物組織学的接着剤の使用状況
超音波凝固切開装置の使用状況、体外循環の使用状況
術中合併症、手術関連合併症等
出血量、傷の大きさ(cm)、肺尖部胸壁浸潤(有無)、リンパ節郭清状況
開胸時洗浄胸水細胞診施行の有無、根治度、合併切除の有無
術中洗浄細胞診(陰性、妖精、判定不能)、術中輸血の有無、術中損傷の有無 - 術後経過情報
- 合併症、再手術の有無、術後30日以内の再入院の有無
退院日、退院時の状態
30日目、90日目の健康状態
【今回の研究で追加する情報(二次情報)】
- 項目
- 内容
- 入院情報
- 発見契機、抗凝固薬/抗血小板薬/術前ヘパリン投与の有無
5年以内の悪性腫瘍の有無・がん種 - 手術前情報
- 腫瘍マーカー、血液検査、肺拡散能(DLCO')、血清KL-6値
間質性肺炎の詳細、間質性肺炎の急性増悪の有無
術前ステロイド投与の有無、CT画像情報 - 詳細な手術・周術期情報
- 周術期使用薬、術前併存症の補足、術前導入療法の補足
同時多発肺癌の補足、術式の補足、リンパ節郭清個数・部位
胸腔ドレーン抜去日、術後合併症の補足 - 病理情報
- 病理情報の補足
- がん遺伝子・免疫情報
- 遺伝子異常、PDL-1発現率等
- 術後経過情報
- 再発の有無と時期・部位、再発時治療、他がん等
手術後10年間の健康状態