「インドシアニングリーン(ICG)を用いた肺区域切除術の検討」についての研究への参加のお願い
【はじめに】
肺の区域切除術は原発性肺癌手術で標準手術とされる肺葉切除術に対して縮小手術といわれる術式です。早期癌や、低肺機能の方に行うことで、肺葉をひとつ切除するのに比べて呼吸機能の低下が少なくて済みます。
しかし区域切除術は肺の表面からは見えない肺内の区域を確認して肺を切離する必要があり、その境界線を決めるために様々な確認法が考案されています。
そのひとつは区域に関与する気管支内へ空気を送り境界を確認する方法で、空気の入ったところとそうでない境目を確認します。しかし、特に肺気腫の方などでは空気の広がりが不明瞭で区域の同定がしばしば困難です。また当科の手術の8割を占める胸腔鏡手術では、限られた胸腔内で肺を膨張させると視野の確保が難しくなることもあります。
その他の方法として、肺の血流の境界を確認する方法があります。肝機能検査やセンチネルリンパ節同定に用いられる検査薬であるインドシアニングリーン(ICG)は血漿タンパクと結合し励起光をあてると蛍光を発する(光る)性質があり、このICGの注射により肺の血流の境界を蛍光で確認する肺区域間同定法が報告されています。同法では肺への送気がないため狭い空間で手術を行う胸腔鏡手術でも肺の境界を確認して切離しやすいのではと考えています。また使用するICGは検査薬として広く利用され安全性の認知された薬剤です。
【研究の内容】
手術中に切除予定肺区域の血管処理後にICGを静注して、蛍光を確認し切除する境界を同定します。温存予定肺区域は肺動脈からのICG流入により蛍光を発し、切除予定区域は流入せず暗くなります、その境界を区域間と判定します。
使用するICGという検査薬は日常臨床に使用され安全性が認知されていますが、ヨード過敏症の方には使用できません。本薬剤の副作用は報告で0.17%とされています。
【患者さんの個人情報の管理について】
この臨床試験に関連したあなたのプライバシーは厳重に守られます。この試験で得られた情報は今後の治療の発展のための貴重な資料として使用させて頂きます。この臨 床試験の結果は学会や医学論文などで公表されますが、その場合もあなたのプライバシーに十分配慮いたします。個人を識別できる情報が公開されることはありません。
【研究期間】
2017年9月から2018年3月までの予定です。
【医学上の貢献】
手術の正確性と効率化をはかることができます。
【研究機関】
北海道がんセンター 呼吸器外科
連絡先:〒003-0804札幌市白石区菊水4条2丁目
TEL:011-811-9111、FAX:011-832-0652
【研究事務局・代表者】
安達 大史 北海道がんセンター 呼吸器外科
連絡先:〒003-0804札幌市白石区菊水4条2丁目
TEL:011-811-9111、FAX:011-832-0652